採用成功の秘訣は「チーム力」!リトルガーデン遠山オーナーに聞く、スタッフ全員で取り組む採用活動
- ユーミン

- 2 日前
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美容業界の採用や人材育成について考えるオンライン企画「採用と育成の未来会議」(ビューティープロ主催)。その第13回が、2026年8月28日(金)19時より開催されました。
今回お話を伺ったのは、岡山県で美容室「リトルガーデン」を経営する遠山 潤オーナーです。
テーマは、採用成功の秘訣「チーム力」。
リトルガーデンは現在3店舗を運営し、スタッフは15名。採用活動にも、スタッフ全員で関わっています。さらに新店舗の出店も予定しており、来年には6名の新規採用が決まっています。
こう聞くと、採用も組織づくりも順調に進んできたサロンに見えるかもしれません。しかし、最初からそうだったわけではありません。
遠山オーナーのお話は、2018年のある朝の出来事から始まりました。
出勤すると、なんとスタッフ同士が大喧嘩。
サロンの空気は最悪で、遠山オーナー自身が、
「もう自分がこのサロンを辞めたい……」
と思うほどだったそうです。
採用もうまくいかない。スタッフ同士もまとまらない。経営者自身も心が折れそうになる。
そんな状態から、どうやって今の“ワンチーム”をつくり上げたのか。
創業から19年。その時期を乗り越えた遠山オーナーがたどり着いた、採用成功の大きなポイント。
それが、
「採用は社長一人でやるものではない。チームみんなで取り組むもの」
という考え方でした。
今回は、遠山オーナーの失敗や試行錯誤も交えながら、スタッフ全員が採用に関わる組織になるまでのリアルな体験談を伺いました。
第1章 採用できない時期から始まった、リトルガーデンの採用改革
「どんなサロンですか?」に答えられなかった
スタッフ同士の大喧嘩があった2018年ごろ、遠山オーナーは人材採用にも苦戦していました。
思うように採用につながらない状況が続く中、ある美容学校の先生から、こんな質問をされたそうです。
「リトルガーデンさんは、どんなサロンなんですか?」
しかし、その問いに遠山オーナーはうまく答えることができませんでした。
長くサロンを経営してきたにもかかわらず、自分たちのサロンがどんなお店なのか、何が強みなのかを言葉にできない。そのことに愕然としたといいます。
そこから改めて、
「うちのサロンって、どんなサロンなんだろう?」「他のサロンと比べたとき、自分たちの強みは何だろう?」
と考えるようになりました。
採用活動を始める前に、まずは自分たち自身が会社のことを理解しなければならない。2019年ごろから、リトルガーデンの魅力や大切にしていることを、一つひとつ言葉にして整理していきました。
その取り組みは、少しずつ結果となって表れていきます。2021年には新たな採用につながり、2022年には岡山県内のサロン11社と協力して、約60名規模のガイダンスイベントを開催しました。
自社だけで学生を集めるのではなく、地域の美容室同士で連携し、美容学生との接点そのものを増やしていく。こうした活動を重ねた結果、現在では岡山県内の美容学校とのつながりを活かしながら、多くの学生と接点を持てるようになっています。
美容学生に直接聞いて分かった「求人で大切なこと」
採用活動を改善するために、遠山オーナーが行った興味深い取り組みがあります。
それが、美容学生から直接、自社の求人について評価してもらうことでした。
学校の先生にも協力してもらい、自社の求人資料などを学生に見てもらいながら、
「この写真をどう感じる?」「この文章を読んで、働きたいと思う?」
と、学生目線での率直な意見を聞きました。
そこで特に重要だと分かったのが、写真の見せ方です。
サロン側が「良い写真」だと思っていても、美容学生が「ここで働いてみたい」と感じる写真とは限りません。
この取り組みを一度だけで終わらせず、何度も繰り返しながら、「学生から自分たちのサロンはどう見えているのか」を客観的に確認し、採用活動を改善していきました。
第2章 「採用できたら成功」ではない。失敗から変わった採用の考え方
4名を採用。しかし、その後3名が退職
さまざまな取り組みを通じて、一度は4名を採用することができました。
ところが、その後3名が退職してしまいます。
ここで遠山オーナーは、採用についてさらに深く考えることになりました。
「人を採用すること」と「入社した人が活躍し続けること」は、別の問題です。採用人数だけを追いかけても、本当の意味で採用が成功したとは言えません。
そこで、求人の見せ方だけでなく、会社の魅力や価値をスタッフ自身が理解し、それを学生へ伝えられる組織づくりへと、考え方を変えていきました。
社長が採用するのではなく「スタッフが採用する」
その変化のひとつが、面接の方法です。
以前は遠山オーナー自身が面接を担当していましたが、現在は経験のある先輩スタッフも学生と関わる形へと変更しました。
実際に入社した後、一緒に働くのは現場のスタッフです。だからこそ、経営者だけが会社について語るのではなく、そこで働くスタッフ自身が、
「この会社のどこが好きなのか」「どんな働き方ができるのか」「どんな美容師を目指せるのか」
を自分の言葉で伝えることが重要になります。
こうして、採用活動そのものを会社全体の取り組みへと変えていったのです。
第3章 一人の熱量から「チーム採用」へ
まず伝えたのは「採用は、今いるスタッフのためでもある」
遠山オーナーが採用活動をスタッフと一緒に進めていくうえで、最初に行ったのは、「人を採用することが、今いるスタッフにとってどんなメリットになるのか」を伝えることでした。
新しい仲間が増えれば、一人ひとりの負担が減り、休みも取りやすくなる。会社全体の売上や生産性が上がれば、将来的には給与を上げていくことにもつながる。
つまり採用は、単に「会社が人手を増やしたいから行うもの」ではありません。今働いているスタッフの働きやすさや待遇を良くしていくためにも必要なことなのです。
「採用を手伝ってほしい」とお願いする前に、
「人が増えることで、自分たちの働き方がどう良くなるのか」
をスタッフ自身に理解してもらう。まずは、そこから始めたのです。
一人の熱量が、チーム全体へ広がっていく
そのうえで遠山オーナーが大切にしたのが、熱量のあるスタッフを中心にチームをつくることでした。
最初から全員に「採用活動を頑張ろう」と伝えても、全員がすぐに同じ温度感になるわけではありません。
そこでまずは、会社の未来や自分自身の将来について明確なビジョンを持っているスタッフを中心に、活動をスタートさせました。
そのスタッフが楽しそうに動き、成果が生まれることで、周囲のスタッフも少しずつ参加するようになっていきました。その結果、今ではサロン見学や美容学校のガイダンスにも、多くのスタッフが積極的に参加しています。
学生が出会うスタッフ全員で、熱量をそろえる
遠山オーナーがもう一つ重要だと考えているのが、学生と接するスタッフの熱量をそろえることです。
例えば、美容学校のガイダンスで、スタッフが一生懸命にサロンの魅力を伝えたとします。それを聞いた学生が「リトルガーデン、いいな」と感じ、サロン見学に来てくれました。
ところが、実際にサロンを訪れたとき、迎えるスタッフの熱量が低かったらどうでしょうか。
ガイダンスでは楽しそうな会社に見えたのに、サロンに来たら雰囲気が違う。学生は、そのギャップに敏感に気づきます。
遠山オーナーは、「ガイダンスでどれだけ良い印象を持ってもらっても、サロン見学でスタッフとの温度差を感じたら、“ここで働きたい”とは思ってもらえない」と考えています。
だからこそ、採用担当者だけが熱心に動くのでは不十分です。ガイダンス、サロン見学、面接、そして入社後に至るまで、学生が出会うスタッフ一人ひとりが同じ方向を向いていることが大切なのです。
現在のリトルガーデンでは、サロン見学に来た学生への対応にも、スタッフ全員で関わるようにしています。ガイダンスでは、サロンの魅力を伝えるためにスタッフ自身が紙芝居や劇を考えることもあるそうです。
「どうすれば学生に伝わるだろう?」「どうすれば、このチームで働きたいと思ってもらえるだろう?」
採用を「会社から与えられた仕事」ではなく、自分たちの未来を良くするための活動として捉える。スタッフがそう考えているからこそ、どの場面で会っても、同じ熱量が学生に伝わるのです。
採用活動が、スタッフを成長させる
スタッフが採用活動に関わるメリットは、人が採用できることだけではありません。
学生に会社について説明するためには、自分たち自身が会社のことを理解していなければなりません。
「自分たちの会社の良いところは何だろう」「なぜ自分はここで働いているんだろう」「どんな仲間と一緒に働きたいんだろう」
採用活動は、スタッフ自身が改めて会社や仕事について考える機会になります。つまり、採用活動そのものが人材育成にもつながっているのです。
現在のリトルガーデンでは、部門ごとの担当やスケジュール管理など、スタッフそれぞれが役割を持ちながら組織を運営しています。さらに、新しく入社するスタッフを迎えるための入社前レッスンにも取り組んでいます。
スタッフ15名、全員が採用担当者
遠山オーナーは、現在の採用体制について、胸を張ってこう話してくれました。
「今ではスタッフ15名、全員が採用担当者です!」
かつては、遠山オーナー自身が採用活動の中心を担っていました。
しかし現在は、その役割をスタッフ全員で分かち合っています。
ここで言う「採用担当者」とは、役職のことではありません。スタッフ一人ひとりが、自分たちのサロンの魅力を自分の言葉で伝える存在になる、ということです。
この言葉に、リトルガーデンがこれまで取り組んできた「チーム採用」の姿が表れているように感じました。
第4章 採用成功の秘訣は「条件」だけではなく「チーム力」
求人条件、福利厚生、給与、立地、教育制度。もちろん、採用においてどれも大切な要素です。
しかし、それだけでは学生から選ばれるサロンになることが難しくなっています。
今回の遠山オーナーのお話から見えてきたのは、
「誰と働くのか」「どんな人たちが働いているのか」
という部分の重要性でした。
経営者だけが採用活動をするのではなく、スタッフ一人ひとりが自社の魅力を理解し、自分の言葉で伝える。そして、新しく入ってくる仲間をみんなで迎える。
そんなチームができれば、その雰囲気は自然と美容学生にも伝わっていきます。
ここから会議は、遠山オーナーのお話を聞いていた参加メンバーからの感想や質問へ。それぞれのサロンでの経験も交えながら、「採用」と「チームづくり」について、さらに議論が深まっていきました。
第5章 参加メンバーとの議論から見えてきた「これからの採用」
課題に対し、経営者だけでなくスタッフも一緒に向き合う
遠山オーナーの事例を聞き、特に多くの参加者が注目していたのが、やはりスタッフ自身が採用や会社づくりに関わっていることでした。
サロンが何か課題に直面したとき、経営者だけが動くのではなく、スタッフも一緒になって考え、行動する。そこに、リトルガーデンの「チーム力」の強さが表れているのではないか——そんな声が上がりました。
他のサロンを見ることも、自社を見直すきっかけになる
意見交換の中では、サロン見学についても話が広がりました。
(ここでいうサロン見学とは、経営者やスタッフが、求人や集客などの目的に合わせて他のサロンを見学しに行くことを指します。) きっかけは、遠山オーナー自身の取り組みのお話しでした。2025年に「サロン見学に5社行く」という目標を立て、実際にやり遂げたそうです。 しかも、一人で行くのではありません。スタッフを一緒に連れて行っています。 経営者だけが他社の取り組みを見て帰ってくるのではなく、スタッフも同じものを見る。そこで学んだことを自社に取り入れたところ、求人活動にもかなりのプラスになったそうです。
採用活動というと、自社を学生に「見てもらう」ことばかりを考えがちです。しかし、時には自分たちが他のサロンを見ることも重要です。
他のサロンが、
「どんな見学を行っているのか」「学生にどんな言葉をかけているのか」「スタッフがどのように採用活動へ関わっているのか」
こうした点を知ることで、自社では当たり前になっていたことを見直すきっかけになります。
良い取り組みをそのまま真似するのではなく、「自分たちのサロンだったら、どうできるだろう?」と考えることが、採用活動の改善につながっていきます。
「いつ採用するか」「誰を採用するか」も考える
採用方法についても、さまざまな意見が出ました。
応募があった順番に採用を決めていくのか、それとも一定期間の応募者をまとめて見たうえで判断するのか。採用するタイミングによっては、本来出会えたはずの学生との縁を逃してしまう可能性もあります。
一方で、採用で大切なのは能力や条件だけではありません。参加者からは、「その人が会社の文化に合っているか」という視点も重要だという意見がありました。
どんなに技術があっても、サロンが大切にしている考え方と本人の価値観が大きく異なれば、長く働くことが難しくなる場合があります。反対に、一人ひとりの個性を活かせる環境をつくることで、その人らしく活躍できる可能性も広がります。
採用とは単に「優秀な人を選ぶこと」ではなく、自社と相性の良い人と出会うことでもあるのです。
第6章 あえて「陰キャラな子」を採用したい。その理由とは?
意見交換の中で、遠山オーナーから出たのが、少し意外で印象的な言葉でした。
「うちは、どちらかというと“陰キャラな子”を採用したいんです」
美容師というと、「明るい」「元気」「コミュニケーション力が高い」といったイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、リトルガーデンが注目しているのは、必ずしもそうしたタイプだけではありません。
遠山オーナーが「陰キャラ」と表現したのは、真面目で落ち着いていて、前に出て自分をアピールすることが得意ではないような学生たちのことです。
その背景には、リトルガーデンが大切にしている「カウンセリング」が大きく関係しています。
美容師の接客は、たくさん話して場を盛り上げることだけではありません。お客様の話をしっかり聞き、「どんなことに悩んでいるのか」「どんな自分になりたいのか」を丁寧に引き出す力も求められます。
一見おとなしく見える人でも、相手の話をじっくり聞ける人や、相手の気持ちを考えられる人であれば、それ自体が美容師として大きな強みになります。
だからこそ遠山オーナーは、「明るく元気だから美容師に向いている」「おとなしいから向いていない」といったイメージだけで学生を判断しません。
「陰キャラな子」という一見意外な採用ターゲットの言葉から見えてきたのは、一人ひとりの個性を“弱み”ではなく“強み”として見る採用の考え方でした。
どんな学生を採用したいのか。その答えを考えるときも、一般的な「美容師らしさ」に合わせるのではなく、自社が大切にしている接客や文化に合う人はどんな人なのかを考えることが重要なのかもしれません。
第7章 採用・育成・定着。すべてをつなぐのが「チーム力」
スタッフのモチベーションをどう高めるか
話題は採用から、入社後のスタッフ育成やモチベーションにも広がりました。
チーム力を高めるためには、経営者から「頑張ろう」と伝えるだけでは十分ではありません。
遠山オーナーからは、第三者から評価されたり、外部から意見をもらったりすることもスタッフの刺激になる、という話がありました。
毎日一緒に働いている社長や上司から言われる言葉と、社外の人から言われる言葉とでは、受け止め方が変わることがあります。
外部の人から、
「この取り組み、すごくいいですね」「このスタッフさん、とてもいいですね」
と評価されることで、本人が改めて自分たちの良さに気づくこともあります。
採用活動や学校ガイダンスなど、外部の人と関わる機会を増やすことは、採用だけでなくスタッフ育成にもつながっているのです。
Instagramも「求人広告」ではなくチームを見せる場所へ
ビューティープロからは、InstagramなどSNSでの発信についても話題を投げかけました。
求人向けのSNSというと、「給与」「休日」「福利厚生」「教育制度」などを発信することに意識が向きがちです。もちろん、それらの情報も必要です。
しかし、美容学生が知りたいのは条件だけではありません。
「どんな人たちと働くのか」「このサロンで働いたら毎日どんな感じなのか」
という部分も非常に重要です。
スタッフ同士が楽しそうにしている様子や、一緒に何かへ取り組んでいる姿。そうした日常の発信が、サロンの雰囲気を伝える採用コンテンツになります。
さらに、自分たちの楽しそうな姿や頑張っている姿が外部へ発信されることは、スタッフ自身にとっても会社への愛着やモチベーションにつながる可能性があります。
チーム力は「採用」だけの話ではない
今回の意見交換では、最低賃金の上昇など、美容室経営を取り巻く環境の変化についても話題になりました。人件費をはじめとした経営コストが上がっていく中で、これまでと同じ経営のままでは難しくなる部分も出てきます。
だからこそ、改めて重要になってくるのが「人の力」です。
スタッフ一人ひとりが成長すること。良い人間関係をつくること。役割を持って会社に参加すること。そして、自分たちの会社を自分たちで良くしていくこと。
今回のテーマだった「チーム力」は、決して採用人数を増やすためだけのものではありません。採用・育成・定着、そしてサロンそのものの成長につながる土台が「チーム力」なのではないか。
遠山オーナーのお話と、その後の参加者との意見交換を通して、そんな共通点が見えてきました。
おわりに|「選ばれるサロン」は、みんなでつくる
求人がうまくいかないと、
「条件が悪いのではないか」「立地が悪いのではないか」「もっと求人広告を出した方がいいのではないか」
と、つい外側の部分に原因を探してしまいます。
もちろん、それらを改善することも必要です。
しかし今回の「採用と育成の未来会議」で見えてきたのは、もっと身近なところにある採用力でした。
それは、今いるスタッフが自分たちのサロンを好きであり、自分たちの言葉でその魅力を伝えられること。
経営者一人で「選ばれるサロン」をつくることはできません。スタッフと一緒に会社をつくり、その姿を学生に見てもらう。そこから「この人たちと一緒に働きたい」と思ってもらえることこそが、これからの美容室採用における大きな強みになるのではないでしょうか。
採用成功の秘訣は「チーム力」。
今回の会議は、採用を求人活動だけで考えるのではなく、日々の組織づくりそのものから見直すことの大切さを考える機会となりました。
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